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~山々と犬々~ 
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実家付近にあるパン屋が、とても好きである。
小さく、わりと新しく、パンはショーケースに並んでいて、駐車場は2台くらいしか駐められられず、出入りが難しく我が母などは車で行くのが嫌だというのであるが、

わたくしはそこのフランスパンがとても好きであり、
多分、いままで食べたものの中で一番美味しいと思うのであります。

近頃はふかふかのソフトなフランスパンが多いなと感じるのですが、
ここのは色も濃くて外はバリン、中はもちもちとしていて、
なにしろ麦の甘い香りがして、後味がいい。
なんにも付けずに香りを楽しむのがとてもいいナあと思う逸品ですな。

むしろ何か付けたりサンドイッチにしたりするのは勿体ないと思ってしまう。
いや、贅沢だと思う。
蕎麦だって、おいしいのはなるべくつゆに浸さず、しっぽのほうだけちょいと付けて食べるじゃないですか。


引っ越してから、パンにお金を使いすぎていることに気づき、なるべく自分でこねて焼いているうち、フランスパンも焼くようになったけれど、
やはりこういうパンは素人が簡単にできるようなものじゃないねと思うね。
焼き上がりがよくても色が悪いとか、色が良くてもとか、
形がかっこわるいとか、素材が安いとかで、

絶対にこのパン屋さんのようには一生かかっても焼けないであろう。

一本260円くらいですからね。
それ以上の価値は十二分にあってありあまる。

このパン屋さんが、どこで修行してどうしてここで店を開いたのか。とても気になるのだけど、ホームページもないんだねこれが。
開店したときから思ってたけど、マイペースなようですね。

ブーランジェリー ドール。

実家がここにある限り、続いていてほしいお店なのであります。


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臨月に入り、初めての健診に行って参った。
まず母子手帳を忘れることに始まり、ずいぶん受診の時間が遅れをとってしまった。
しかしまあ、たまに息子殿と離れられることは好い事なので苦にならない。
本でも持っていっておけばよかったなあと思いますな。

さて健診でありますが、エコーで見るやいなや先生が、

「これ逆子じゃん!」とおっしゃった。

あーあ、なんかそんな気はしていたのでありました。
なんだか腹のなかで娘が、体を伸ばして腹を上下に突き破りそうな動きをしていたので。この時期に今更逆子になることは稀らしい。

先生は一人目が下から生まれてきたのに二人目で帝王切開はもったいない。とおっしゃったのだが、わたくしとしては、いろいろ経験するのもえんじゃないかとか思って(人生が取材)へらへらしていたのであります。しかし先生的には帝王切開なんて珍しいことでもなんでもなかろうに、なぜそんなに大げさに驚くか。看護師さんも「なんてことでしょう」的に「前回は普通だったのに・・」とおっしゃる。

先生、なんとかしてください、助けてください、と、わたくしも言えばよかったのかもしれないが、もうしょうがないっすねハハーンくらいの薄い反応しかしておらず。

やれ困ったねえなどとつぶやいた後先生は、「ちょっと押しますよ」と言って、腹をぐいぐいと押し、中のひとを半回転させた。

どうやら頭が下になったらしい。あっけなかった。
そんなことできるんならなおさら、なんだったのか、あの驚愕した雄叫び。

そういや、年末に来たときもこの先生にあたって、「逆子だ!」と言っていたな。
その月齢では逆子なんて全く問題ない時期だけどね。
うちの娘はこの先生の前では逆子になるというパフォーマンスを心得ているのではないか・・・いや、しかし丁寧で親切な良い先生なんですけどね。信頼してますとも。

でも、また逆子になる可能性もあるとのことで、
夜寝るときは左側を下にして寝るように言われた。

これがきついんですよ。つねに涅槃って、きついんだなあ。
仏陀ってすごいなあ。

心なしか、顔も左目の下のクマが濃くなってないか。

とまあそんな日々です。
まあでも、出産は楽しみである。
帝王切開だとしても意識はあるのだから生まれた瞬間はわかりますからね。

どのようなひとが出てくるのだろう。
赤ん坊や胎児と寝起きしていると、一日は長くも短くもなく、ほんとに24時間というサイクルはちょうどいいと思われる。これ以上長くても短くても疲れるだろね。
しかしわたくしのライフワークが物語をイメージすることだとしたら、これはなかなかワークする時間が足りないものだと感じるところでありますね。

だれだったか、有名な女流作家の娘は、母親が家で仕事をしているところを見たことがなかったと言っていた。ニコニコした専業主婦にしか見えなかったという。子供が学校に行く間と夜中に仕事をしていたということですね。

なんとまあ格好のいいことだろうか。スーパーマンか。
そしてもうひとつ格好いいと思うのは、
ニコニコしながら家事というそれもある種の職人芸を遂行する脳みそを持ちながら、別世界の細部、ひとの心の中を描くまでの余白が脳みそにあるということですね。家族には自分が作家であることを感じ取られないレベルでよ。

ぜひその人の作品を読んでみたいと思うんだけどだれだったのか思い出せず。
青木玉さんのお母さんだったっけ。ってことは幸田文だっけ。幸田露伴の娘だ。

読んでみたいと思う今日この頃。
作品を読みながらそれを書きながら日常を過ごす幸田文の生活を想像してみたい。
おなかも大きくなるわけですよ。
食べたものは食べた分だけ蓄積されていくような気がしますよ。
明日は妊婦検診なるものが控え、出産は三ヶ月後と迫って参りましたが、
なにぶん実感のないものだ。これは息子を生むときよりもそうかもしれないですな。

しかし世の親たちはよくやってきたものですね。
いまや出生率も二人未満ですが、
なんだったんだろう、10人兄弟とかの時代。
全部年子だったとしても10年間は身重というのはどうなるんでしょう。
生んだ後のすっきり感から考えると、出産ほどのデトックスもないような気がするので、昔の母ちゃんって爽やかな人が多かったと思われる今日この頃です。

おなかの中の人の性別は、お医者によると女の子とのことで、さて、名前はどうしようかと、それにつきる。その次にわたくしがどうしようかと思うのは、息子と娘をどうやって風呂に入れるかということと、二人をどうやって夜寝かせるのかということです。

いまや息子は一才となり、浴槽の中でも一人で立っていられるが、そうなるにはやはり時間がかかったので、二人をいっぺんに風呂に入れられるようになるには時間がかかるかもしれないということは、別々に風呂に入れるということであるのか。そうなのか。

まあいい、楽しいことには変わりあるまい。

しかし、夜中に娘が腹がすいて起きて泣いて、息子も起こされて泣くとなる。
そこで生まれる悪循環がありそうな気がする。あるであろう。

まあいい、そんなものでしょう。

生体の成長を観察できるのはとても貴重で、面白いことだなあと思います。
彼らはわたくしたちを認識し、そしていつしか凌駕するわけだ。
金属バットで殴り掛かってきたり、財布から金をちょろまかしてみたり。
かわいいじゃないか。

日本の未来はあんまり明るくないようなことばかりをテレビで聞くけれど、
生き物の成長そのものの面白さはずっと変わらないじゃないですか。

これからが楽しみな、今日このごろであります。
すぎてもなお、黒豆を炊く本日。
正月っていいね。なんか地味でいいよ。地味だけど食うものはあふれているところが。

さて息子は1歳になりました。
歩くようになり毎日忙しそうにやっていますねいろんなことを。
タッパーを引き出しから出してばらまいたりするのももう何ヶ月やってるんだ。
それを毎日しまうという行為も甚だ飽きてきましたが、
まあおもちゃだと思えば仕方あるまい。

親もふくめ、おもちゃだと思えば。

息子の食の好み。

甘いもの、美味いもの、旨味のあるもの。

旨味でいうと、カニ缶あたりですか。大好きなようだ。
甘いものはかなり無差別で食べる。動物として当然のことだ。猫だって、魚の肝臓が好きというではありませんか。肝臓はグリコーゲン豊富だからで、甘いからだ。

美味いもの。
これは厳しいところがある。
大人ならしれっと平らげることのできる、残り野菜で作ったようなスープ。
こういったものは、心込めて作ってないと食べない。
だしの味か、オリーブオイルの味がしたら食べるような気もするが、
やはり具が固めだったり肉の旨味のだしが抜けきったような肉はポイするのである。

味などをいろいろみることができるようになったこともあり、
モノを無差別に口に入れてしゃぶり続けるようなことはなくなりましたが、
赤ん坊って人ぁなかなか通ですわと思うところも少々であります。